フランス・フォトグラファー Loïc Lagarde

インフルエンサーとして活躍し始めてどのくらいになりますか?

私が自分の作品をインターネットやSNSでシェアするようになったのは、ちょうどSNSの黎明期である、10年以上前になります。2007年にFacebookに参加したり、スキルアップを図るために作品を共有して読者からフィードバックを受ける写真特化型のウェブサイトのようなフォーラムに参加したりするようになりました。

その後、FacebookからFlickrにプラットフォームを変え、そこに作品を共有するようになりました。2008年頃のことです。これをきっかけに、SNSで自分の作品を共有することが自分にとって大きなチャンスにつながることに気がつきました。

これらをビジネスに繋げるために、自分の作品に特化したブログやSNSを始めました。そして、Instagramが登場しました。Instagramが登場した当時は写真のプロが使うツールとしてあまり認知されておらず、どちらかというと自撮りをアップするためのSNSというイメージが強かったため、プロの写真家として作品を披露する場所ではないだろうと考え、しばらくは利用していませんでした。しかし状況が変わり、2014年に私はInstagramへと活動の場を移しました。FlickrやFacebookなどの他のSNSでは既にコミュニティが形成されていましたし、過去の旅行で撮りためた写真のストックがあったので、最初からInstgramに投稿するコンテンツがたくさんありました。

そして2016年にはフォロワー数が10万人を達成することが出来ました。「これはビジネスになる 」と確信してから、もう5年も経ったことに驚いています。

フォロワーを早く増やす秘訣はあるのでしょうか?

フォロワーの獲得にはとても多くの時間がかかります。SNSは自分の作品を紹介して皆さんに見ていただく場所ですが、もちろん何かアクションを取らなければ、誰も見てくれることはありません。自分のアカウントでコンテンツを投稿することはもちろん、他の人の投稿をシェアしたり、コメントを残したりして、コミュニティに参加する必要があります。

Instagramのシステムに自分がアクティブであることを知ってもらうためには、他のアカウントと関わり、毎日同じ時間に新鮮なコンテンツを投稿しなければなりません。報道やテレビなどのメディアのように毎日新しいコンテンツをコミュニティにシェアすることが求められるのです。それはとても時間と労力のかかることですが、コミュニティを築き上げるための唯一の方法なのです。適当に撮影した写真を投稿するのではなく、自分の写真を作品として魅せて、コミュニティに参加する。まずはこれが大前提となります。

もちろんこのようなことが全て出来るからと行って、誰もがSNSで成功するとは限りません。次に必要なのは「オリジナリティ」です。なぜ私がInstagramだけでなく、FacebookやFlickr、ブログなどのあらゆるメディアで成功できたかというと、私の作品のスタイルは非常にわかりやすく、認知してもらいやすいからです。実際に、最近TikTokでも活動し始めましたが、ファンの方は私の作品をすぐに認識してくれます。日々大量のコンテンツクリエイターが生まれる中で、唯一の存在となること、これが欠かせない要素となります。

それから各SNSの分析も忘れてはいけません。各SNSにはそれぞれ独自のアルゴリズムやルール、コミュニティがあるので、それぞれに対応するために各チャンネルの性質を知っておく必要があります。例えば、Facebookと同じ手法でTikTokやInstagramのアカウントを成長させることは出来ません。チャンネル独自の特性を理解し、実践しなければ決して成功することはできないでしょう。

1日にどれくらいの時間をSNSに費やしていますか?

合計すると、毎日半日ほどです。写真を撮り、キャプションを書き、コンテンツを作成し、投稿する。そしてエンゲージメントを高めるために、その他の投稿にコメントをするのももちろん忘れません。こうすることによって作品をもっと多くのオーディエンスに観てもらうことが出来ます。クライアントから依頼された案件の場合は、もっと多くの時間がかかります。一日中、一晩中、写真撮影することもありますし、それは皆さんが思う以上に、非常に時間がかかるものなのです。

 

日本には何回訪れましたか?

私が初めて日本を訪れたのは2006年に、日本に滞在する親友を訪れたときでした。その後、当時務めていたビデオゲーム会社の出張で、日本を再度訪れました。それからまた家族との休暇でも再来日しました。日本を訪れるようになってからこの国が大好きになり、日本には何度も何度も来たいと思うようになりました。私と同世代の30代から40代のフランス人は日本の漫画と共に育ったので、日本文化の影響を強く受けています。フランスは日本文化の第二の消費国ですし、多くのフランス人は日本文化を体験するために、日本に訪れます。私が日本に魅了されたのは、このような理由があるのかもしれません。

また、いつか日本で働きたいと思っていたところ、ちょうど2年前に日本で働く機会がありました。結局働くことはありませんでしたが、今でも日本で暮らしたいと考えています。最初に日本を訪れてからもう何度訪れたかわからないくらい訪れました。日本は私の第二の故郷です。パリにいるよりも、日本にいる方がホームにいるように感じます。日本は本当に居心地がよく、パリに滞在しているときにはいつも日本に想いを馳せています。

日本で一番印象に残っている&忘れられない体験はありますか?

すごく難しい質問ですね。もしひとつ選ぶとすれば、ある冬に京都を訪れた時のことでしょうか。当時ある方に「京都ではほとんど雪は降りませんよ。降っても年に1、2度くらいだと思います。」と言われたんです。数日間の滞在だったので雪を見るのは諦めていました。ただ実際に京都に訪れたある朝、日の出前の朝5時に目が覚め、外を見たら雪が降っていたので本当に驚きました。飛び起きて、始発の電車に乗って嵐山に直行し、竹林を撮影しました。本当に美しい光景で、心からの幸せを感じました。パリでは絶対に体験できないことです。

もう一つ挙げると、私はパートナーと、フランス人向けのツアーを手配する最大手の代理店と協業して日本で写真ツアーを主催しています。私たちは一緒にコンテンツを造成し、アイディアを共有しあい、ついに2019年の10月に、初のツアーを実現しました。一番最初のツアーだったということも有り、とても緊張したことを覚えています。ツアーには10名の参加者が参加し、富士山の河口湖に行きましたが、山の天気はなかなか変わりやすく、富士山周辺の天気は落ち着かず、良い写真を撮影できる環境が整うか、とても緊張しました。一週間前に事前にロケハンも行いましたが、ツアーの当日の天気予報は悲観的でした。旅行代理店は殆ど諦めておりましたが、実際のツアー催行日は絶好の天気となりました。まさに奇跡のような最高の天気に恵まれ、夢を見ているかのような素晴らしい富士山にかかる雲の美しい写真を撮影することができ、素晴らしいツアーとなりました。今でも忘れられない最高の経験です。ツアー参加者からはとても感謝して頂き、大切な思い出となりました。

 

お気に入りの場所はありますか?

一つを選ぶのは難しいですが、強いて言うなら河口湖・富士山方面です。

このあたりは個人的にはとても詳しいのですが、例えば河口湖のような有名な観光地でも、あまり英語の表記などもなく、バスや電車の乗り方も非常に複雑で、一般的に外国人観光客に親切ではありません。ただ私にとっては風光明媚な写真が撮影でき、素晴らしい経験ができる非常にインスピレーショナルな場所です。私のフォロワーも私の富士山の写真を特に気に入ってくれています。

 

お気に入りのホテルや旅館はありますか?

豊岡の城崎温泉の旅館「西村屋」が本当に素晴らしかったです。地元の方のご招待を受け、家族で訪問しました。非常に雰囲気もありますし、私達の訪問を大歓迎してくれました。とても伝統的で日本らしさのある旅館でしたし、息子にとっても、とてもいい経験になったと思います。

あなたのフォロワーのお気に入り(最もエンゲージしている)投稿/記事は何ですか?

正直に言うと分析があまり得意ではないのですが、私が知る限りは2019、2020年は富士山の写真が最も人気でした。それから嵐山と、川と紅葉の写真もとても人気です。富士山と京都は多くのエンゲージメントを集めます。

 

他国と比較して日本良いところはありますか?

様々な要素が日本を類を見ない特殊な国にさせていると思います。個人的な意見としては、食べ物は世界中のどの国と比べても一番美味しいです。特に寿司とラーメンがお気に入りです。日本にはヨーロッパでは体験できない食べ物がたくさんあり、私にとって大切なことです。

かることもあります。日本にいるとどうしても日本とフランスを比較してしまいます。

それから日本の温泉も、フランスでは味わえないものです。温泉は日本のライフスタイルとして根付いているもので、心身共に癒やしてくれる、とても素晴らしい文化です。私も日本に滞在する時はよく温泉に行きます。

またあわせて日本の清潔感も特筆すべきもので、日本はフランス、特にパリとと比べると非常に清潔です。

それから電車もいつも時間通りに運行しますし、特に日本の新幹線が大好きです。フランスにもTGVという新幹線がありますが、スピードは同じものの、日本の新幹線のような快適さ、信頼性、スムーズさには欠けます。

他国と比較して日本が改善すべきところはありますか?

ハッピーに見える人が少ないことでしょうか。特に年配の男性は、いつもイライラしているように感じています。インドネシアやフィリピンのような発展途上国に行くと、彼らは裕福ではないのに非常にハッピーで、とても生き生きしています。日本には他の国にはない悲しさを感じます。彼らはすでに裕福な生活をしているのに、人生がどうしたらハッピーになるかを知らないようにも見えます。もちろんこれは日本だけの問題ではなく、むしろ世界的な問題だと思います。

 

改善すべき点について日本の政府が出来ることはなにがあるでしょうか?

言葉の学び方や教え方を変えることはとても重要だと感じています。日本では言語の学び方や教え方があまり適切ではないと聞いていますから。フランスでも同じ問題があります。フランスと日本には共通の問題があると考えていて、両者とも過去の栄光に頼りすぎていて、世界が変化していることにあまり気がついていないように思えます。私たちは変わっていく世界に適応しなければならないのです。

日本のホテルや旅館が対応すべき改善点はありますか?

基本的に、日本のホテルや旅館は素晴らしいと思います。が、言語の問題はまだ解消されていないと感じます。河口湖の旅館に宿泊した時のことです。とある宿泊予約サイトを利用して、ホテルを手配しました。息子はまだ小さいので私と妻のみの2名分のみを支払えばよかったのですが、その予約サイトは3名分を請求したのです。もちろん最終的には訂正して返金してくれましたが、通常であれば予約時にホテル側が気づいて返金してくれるはずです。が、ホテル側はそれに気づいていなかったようです。おそらく言語の壁が招いた問題だったと思います。

また、日本ではルールや規律を重んじるホテルがほとんどで、あまり柔軟に対応してくれないと思いました。例えば、ホテルに夕食の時間を決めるように聞かれたときに、私は写真を取るのが優先なので、いつでも良いですと伝えても、決まりなので時間を指定してくださいと言われます。こういった点はあまり柔軟性がないな、と感じます。

もちろん日本で仕事をしているときは、TOKYO LUXEYのようなインターナショナルなバックグラウンドを持つクライアントと仕事をするので、問題はあまりありません。

 

新型コロナウィルス感染症が落ち着き、渡航可能になった際に、あなたやフォロワーの皆さんがしたいことや行きたい場所を教えてください。

以前のように旅行ができるようになったら、フォロワーは私に来日して欲しいと思っているようです。以前SNSの投票機能で日本に戻ってほしいかとフォロワーに聞いた時、ありがたいことに私のフォロワーはほとんどイエスと答えました。去年の5月に日本を離れた時、私のフォロワーはそれをとても悲しんでいたので、全てがに戻ったら、新しい場所を訪れたい気持ちはありますが、フォロワーの皆さんのためにも、まずは日本に戻りたいと考えています。

Loïc Lagarde

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